????05  2016/09/24

蒼天の竜のバックナンバー

<テスト配信中です>

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何人かの学生が通り、時も過ぎ。
諦めようかと思い始めた頃、人影が見えた。

なぜだろう、遠くからでもわかる、確かに彼だった。

少し俯きがちなのは、あの日と同じ。
道の落とし物を探している訳でもないだろうから、普段から目線を下げているのかもしれない。
あの日少し怯えたように見えたのも、そう言う性格だったのか。

だったら、驚かせちゃいけないな。
どう現れてどう切り出そう。

そんな事を考えていたら、彼はもう公園まで来ていた。

座っていたベンチから慌てて立ち上がる。
その気配に気付いた彼が、こちらを見た。

登場の仕方なんて考えても、これじゃあ意味が無い。
なんて間抜けな事態になっちまったんだ。

彼は、明らかに驚いた顔で俺を見る。
下足場の奴だとわかったらしい。

「ごめんなさい!」

とりあえず謝って深く頭を下げた。

逃げられただろうかと、失態を悔やみながら頭を上げる。
しかし彼は、驚いた顔のままそこに居た。

「少しだけ、話を聞いてください」

ゆっくり、一歩ずつ近付く。
逃げ出した小動物を捕まえる時の気分だ。

怯えさせないように、驚かさないように。
逃がさないように。






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