身近に小さな文明論{No}号  2004/09/26

身近に小さな文明論・・2004.09.26

バイオテクノロジーは神の手なのか?

世界の人口は60億人を越えてしまいました。200年前が10億人、100
年前が16億人程度だったことから考えますと、驚異的な人口の増加になりま
すね。その影響が地球のあちこちに現れていて、最も直接的な食糧問題を取り
上げましてももはや新たな耕作地の開拓はおろか、これまでの穀倉地帯さえも
土地が疲弊して食糧増産など望めない有様です。

耕作地が増えないのならば科学技術の力で単位面積当たりの収量を上げれば良
いではないかと考えるでしょうが、その通りなのです、そこにバイオテクノロ
ジーの出番がお膳立てされているのです。長い地球の歴史において生物は生き
残るために常に進化を続けてきました。それをもっと短い時間の中で、しかも
人間の望むように為し遂げてしまおうというのがバイオテクノロジーの世界な
のです。

それではどうやって遺伝子組替えを起こすのか、簡単な実験を紹介しましょう。
発光オワンクラゲは緑色蛍光蛋白質が外部からの刺激によって光るのですが、
その遺伝子を取り出して大腸菌の中に入れヒートショックを与えますと組替え
が起こります。それらを抗生物質の中に入れますと見事組替えに成功した大腸
菌だけが生き残りますので、一晩培養をして数を増やせば紫外線の下で大腸菌
は美しく光ります。新たに光る大腸菌が出来たわけです。

この実験は最近茨城大学の遺伝子実験施設で行われた一般向け実験講座ですが、
感想は意外に簡単で理解もし易く、しかも大腸菌が青く光るようになるわけで
すからやたらと面白いのです。もしこの遺伝子組替えを誰でも自由にやってい
いとなったらもっともっと面白いことが出来そうなこと請け合いです。そこに
こそバイオテクノロジーの踏絵が存在するのかもしれません。

かつて人の知りえない事柄はすべて神の領分になっておりました。人間が科学
技術の発展とともに新たな真理を獲得すると、神は納得の上でその領分だけを
明渡してきました。このときに重要なことは、神は明渡す際に地球の永遠性を
見据えた上で万事のバランスを損なうことがないよう配慮をしてきたのです。
そう考えますと、バイオテクノロジーに対しても神が縦横に裁量の手を振るう
ことが出来るのか、それこそが最大の関心事にならざるを得ません。そこにこ
そ人間の未来が託されているように思えてなりません。

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