身近に小さな文明論・・2004.11.21 茶哀歌 晩秋の木々の葉が色づく頃、春の桜と並んで日本の国の花である菊が一斉に 咲き始めます。その頃になると花の種類も潰えてやがて冬の花に引き継ぐた めの、一年の最後を飾る豪華絢爛の舞いとなります。その影でひっそりと咲 く花がお茶の花。朝に農道を散歩しておりますとあちらに一本、こちらに二 本という具合に、お茶の花が咲いているところに出会います。 百円硬貨を一回り大きくしたくらいの大きさの、ぽっこりと膨らんだ白い花 の中に無数の黄色いおしべ。あっ、何かに似ているな、と思い考えたら、ま るでつばき花を小さくしたようなのです。そうです。お茶はつばき科の常緑 の低木に属していたのです。満開になっている様は結構な眺めですよ。(写真 は末尾のホームページにてご覧下さい) 何故そこここにお茶の木があるのかといいますと、以前の農家では自家用に 畑や田の縁に植えていたからなのです。茶摘みといいますと田植えの頃です から、その頃に摘んだ新芽で自家製の茶を作り置きしたのでしょう。摘んだ 新芽を陰干しをして乾燥させ、さらに炒ってお茶にするのだそうです。そし て十時、三時のお茶の時間に茶筒から出して素朴なお茶を入れて味わったの でしょう。 ところが今では高級な処理を施された美味しいお茶が容易に手に入るように なりました。それを購入するだけの豊かさも手に入れました。さらに健康ブ ームにのってお茶の種類も多種多彩になりました。もはやかつてのもっぱら 憩いの時を演出してきたお茶も様変わりをして、人間の健康を司るようにな りました。そして農道のあちらこちらに、引退を余儀なくされたお茶の木だ けが残されたのです。 今やそれらのお茶の木は解放されたのかもしれません。何よりも自由奔放に 枝を伸ばして花をつけた姿がその証しなのでしょう。 ホームページにもぜひお寄り下さい・・→ 陽はまた昇りて http://kikiwata.hp.infoseek.co.jp タワンティンスーユ http://www5b.biglobe.ne.jp/~cir-KIKI |