床へと落ちた銀の卵はその硬そうな外見とは裏腹に、ぱん、と軽い音を立ててあっけなく割れてしまった。 ただ、ヒビの間から煙のような細く頼り無い光がふわりと漏れて、幾つかの筋を作って空中へ消えるという不思議な現象は起こしたけれど。 それもあれよと言う間に終わってしまった。 「あぁ…」 ジョーはがっかりして卵を見下ろした。 中は同じように銀色なだけで、空っぽだったのだ。 雛が生まれてくるわけでもなければ、黄身も白身もない。 ―――やっぱり何かの作り物だったのか。 そう思い、肩を落として殻を拾い集めようとした、その時。 |