『Blue fairy』/44 2005/01/27
何しろ本人に悪気というか邪気が全く無いので、彼としても怒るに怒れないのであった。
「……」
胸ポケットの中は少年の体温で仄かに温かく、大人しく揺られていると眠気を催す。
「……全く」
手間のかかる主だと、心の中で独り言を言ってから、彼は不貞腐れたようにそのまま眠ってしまおうかと目を閉じた。
けれど。
「ジョー!!」
不意に外で、知らない声が少年を呼んだ。
その途端、ジョーの体はびくんと跳ね上がる。
アルベルトのいるポケットの向こうで、心臓が先刻よりも早く脈打ち始めるのを感じた。
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