花散る丘/1 2005/03/20
汝、何ゆえに咲くか
薄くれないの花びらよ
汝、何ゆえに散るか
世に生じた喜びを謳い
土に還る哀しみを憂い
愛された日々を想い
ただ嵐に舞う美しきものよ
***
「花見?」
「そう。…今日はいい天気だし」
午後のリビングには、何処か柔らかな香りが満ちている。
それは今しがた片付けられた昼食の残り香ではなく、またテーブルの上に乗った紅茶のカップから漂うものでもない。
包み込むような光と一緒に、良く晴れた空から流れ込む春の気配。
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