ただでさえ信憑性に欠ける話を、面白おかしく書き立てられてはたまらない。 警察から帰って来たばかりの彼を珍しくお茶に誘ったと思えば、こういう魂胆だったとは――― ジェットは残りのコーヒーを一気に呷った。 「とにかくお断りだ」 「いいじゃない、情報料なら弾むわよ。何たって今をときめく怪盗スカーレットの話ですもの」 「……」 相変わらずにこにこと嬉しそうな少女に、気が知れない、と溜息をつく。 女というのはどうしてこう、他人のやっかい事に首を突っ込みたがるのか。 「んなもんいらねぇよ。ネタなら他当たれ」 |