Ghost Thierf/21 2005/05/18
頬の滑らかな輪郭。それは、どうやら少年のようだった。
「俺は大丈夫だけど、ほら」
彼はひょいと屈んで、先刻少年が落とした林檎を拾って、服の裾で土を払ってやる。
「傷はついてないみたいだな。…今度から気をつけな」
「あ…ありがとうございます…」
少年は照れたように頬を染めると、顔を上げて林檎を受け取ろうと手を伸ばした。
「!!」
そこで初めて視線合わせた二人は、一様に息を飲んだ。
帽子に隠れて見えなかった少年の瞳は、その手に渡された林檎のように深い赤に彩られていたのだ。
「お前…っ」
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