Ghost Thierf/31 2005/05/29
少年が赤い瞳を伏せて、静かに言った。
「うん。本物だよ、彼はゴースト…名前はハインリヒ。…アルベルト・ハインリヒ」
白い男は少年を護るように、傍らへ佇んでいる。
「僕らは二人で『怪盗スカーレット』なんだ」
***
「……」
ジェットは、紅茶の湖面に映る我が身を眺めた。
見慣れた自分の顔は不可解という一色に染まっている。
カップを持ったまま所在なさげに頬杖をついている彼を見て、少年が首を傾げた。
「…毒なんか入ってないよ?」
心配しなくてもいいのに、と微笑む。
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