Ghost Thierf/105 2005/11/10
そうして、ゆらりと揺らめいた。
影は漆黒の炎となって燃え上がり、見る間に人の形を成す。
―――次に中空へ浮かび上がったのは、あの姿を持たない黒い塊ではなかった。
『……!』
幽霊は目を見張った。
そこにいたのは彼だった。
赤い瞳と黒い肌をしてはいるが、まるで鏡に写したように同じ姿が目の前に在る。
『…お前…っ』
『驚いた?……アタシはドッペルゲンガー』
同じ顔が対峙したかと思うと、一瞬で鼻先を掠めるほどの距離に近づいた。
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