Ghost Thierf/116 2005/11/26
『……』
―――化け物だと、例えそう見えたとしても。
己は人で、未だ人のままで、そうありたいと彼は思った。
この少年のために。
自分を信じて縋るこの手が、いつでもここにあるよう護るために―――
ふと、その震える肩ごしにもうひとつの姿が視界を過ぎる。
赤毛の青年が、溜息をひとつ吐いてから、薄い唇の片端を少し上げて笑っていた。
『……悪かったな』
彼はぽつりと小さく呟いた。
「ん?」
『役に立たない奴だと思ってたが、そうでもなかった』
「……褒めてんのか馬鹿にしてんのかどっちかにしろよ……」
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