この人は誰だろう。 知らない相手なのに、少しも恐れや緊張を呼び起こさない。 まるでずっと昔から傍にいたような――― 風は地面に座って、少年と目線を合わせた。 「名前は」 「……ジョー」 「そうか。……なぁ、ジョー」 琥珀色の瞳をしている。 少年はそう気付いて、まるで夕焼けのような綺麗な色だと思った。 「俺はお前の味方だ。だから教えてくれ。……どうして、国へ戻ろうと思った?」 あのまま、孤児院で暮らしていた方が幸せだったかもしれない。 血筋のことなど何も知らず、陰謀にも巻き込まれぬままでいた方が。 |