北風と太陽/53 2006/03/03
「違うよ」
王は―――王となった少年は、紅い瞳にかかる栗色の髪をかき上げて呟いた。
「?」
「……ううん、何でもない」
太陽は一層暖かくなったようだ。
「また会いたいな、太陽にも」
「いつでも傍にいるさ」
「……そうだね」
緑の香りがする風を胸に吸い込んで、二人は顔を見合わせて微笑む。
本当に今日はいい天気だ。
end
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