Il Deserto Rosso/5 2007/01/22
太陽を浴びて、泉で水遊びをするのが大好きだった王子は、けれどそれでも泣いて抗ったりはしませんでした。
もう外に出れないのはとてもとても悲しかったけれど、彼もまた父親を愛していたのです。
その父を恨むことなど、優しい少年にはどうしても出来ませんでした。
やがて月日が流れ、王子は18歳になりました。
小さな国は相変わらず、平和で穏やかです。
王子の運命も、変わるはずはありませんでした。
―――その日が、来るまでは。
***
「王子さま」
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