減量ダイエットの逆説  2010/09/07

減量ダイエットの逆説──糖質論

糖質(ブドウ糖)は脳にとって必要不可欠な栄養素であって、3分程でも糖質の供給が滞ると死に
至ると云う。具体的に言うと脳に必要な一日の糖質量は120g。これだけの量が絶えず消費されて
いるから、絶えず血液を通じて供給されていなければならない。

糖質は脳だけでなく筋肉によっても消費される。一日の最低の糖質摂取量を180gと定めれば、
脳に約7割、筋肉に後の3割が当てられることになる。脳では糖質が四六時中消費されるけれども、
糖質は筋肉と肝臓で蓄えることが出来る。ただし、一日の備蓄量は限られていて、肝臓で最大60g、
筋肉で120〜 360gだと云う。

これ以上の糖質を摂ると血糖値が高くなってしまう。だから余分な糖質を消費するためには、筋肉
運動が必要なのだ。

日本人は歴史的にご飯(米)を主食にして炭水化物(糖質)を摂取して来た。ご飯茶碗中盛り一膳は
約150g(252kcal)。その内含有されている糖質は4割弱(36%程)の55gになる。

このご飯を規則正しく食べて糖質を脳や筋肉に必要量を供給していれば良いのだけれど、“炭水化物は
太る”という誤った先入観を抱いて、いわゆる減量ダイエットに励めば励むほど、糖質が欠乏するために、
脳はパニックになって、からだの飢餓の緊急事態を回避するために、異常な食欲を生じさせて警告する。
この食欲はからだが持つホメオスタシス(均衡制御機構)の一環であり、栄養状態が悪ければ、当然生
じる自然な生理的な反応なのに、“食欲に負けて食べる”と、その人は意志が弱いと見なされて蔑まれる。

タガが外れ、お菓子などをドカ食いして過食の摂取障害を引き起こすと、精神病扱いまでされてしまう。
お菓子から摂取した糖質を処理するためにすい臓から大量のインスリンが出ると、余りにもそれが効き過ぎて、
却って急激な低血糖を引き起こす。このためにからだは倦怠し精神的にも落ち込み鬱の状態になる。このよう
な精神状態は、実は間違った糖質の摂り方をしていることが原因かも知れないのに…。

実は糖質が足りていないだけなのに、その過食症の原因は、“母親”との関係が悪かったからだと見なされる。
もっとも、きちんとした食事習慣を身につけさせなかった原因として、母親にその責任の一旦はあるかもしれ
ないのだけれど…。

しかし、むしろきちんとした栄養の知識、特に糖質の摂取が大切なのだという基本的な知識が欠けたまま、
痩身であることに高い価値をおく日本の減量ダイエットの考え方こそがいろいろな問題を引き起こしている
元凶なのではないか、ということは強調したいと思う。

最後に、糖質摂取を極端に回避しようとする、いわゆる低炭水化物ダイエットが実はその意図とは逆に、
血中に悪玉コレステロールを増加させ、動脈硬化・糖尿病を引き起こす危険があると警告している研究を
紹介しよう。
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http://www.rda.co.jp/topics/topics4681.html 

米国のコロラド大学のテリー・L.ヘルナンデス(Teri L. Hernandez)氏らが、
American Journal of Clinical Nutrition誌3月号に発表。

同様にカロリー制限をした6週間の低炭水化物ダイエットと高炭水化物ダイエットを実行した人々は、 
ほぼ同量の体重を落とした。しかし、非常に低炭水化物の食事は悪玉(LDL)コレステロール値を増加
させました。 

炭水化物の摂取量が減って血液中の糖が減少するため、補完するためのエネルギー源として脂肪が分解
されて血液中に流れこむことが、悪玉コレステロールの増加に関連するようだと、この研究者は語って
います。

高いLDLコレステロール値は心血管疾患のリスク要因です。動脈硬化症の発症につながって、心臓発作や
脳卒中のリスクを増加させました。 

高レベルの遊離脂肪酸は、肝臓に糖を格納することを困難にして、血糖値を高めます。高い血糖値が続く
ことは糖尿病につながります。
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まさに皮肉にも、糖質の摂取が少ないと却って糖尿病になる危険性が高まるというわけだ。

肥満論
http://topia.bbsnow.net/himanron/

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