環境白書、「原発リスク」姿消す 記述は昨年限り 朝日新聞2013年6月4日11時38分 http://www.asahi.com/politics/update/0604/TKY201306040070.html 環境省は二酸化炭素を排出しない原子力発電を地球温暖化防止対策の主軸と位置づけ、10年版環境白書でも「一層の活用を図る」としてきた。しかし、11年3月の原発事故後にまとめた12年版では、「原子力安全規制の転換点を迎えて」と題する1節を設定して2ページにわたって記述。原子力災害は「現実的な政策上の課題として取り上げられることが少なかった」と述べ、原発利用による環境汚染のリスクをとらえ直す必要があるとしていた。 13年版では、事故によって拡散した放射性物質の除染の進み具合や健康影響への不安解消の取り組みなどは取り上げたが、原発利用のリスクに関する記述はなくなった。 環境省によると、環境省の外局として新設された原子力規制委員会の年次報告書は原発の安全規制がテーマになるため、「そちらに譲った」と説明する。一方で安倍内閣は今秋、温暖化対策の新目標を策定する予定で、温室効果ガス削減の観点からも原発の再稼働が焦点になる。ある環境省幹部は「目標作りの議論に予断を与えたくない。非常にものが言いにくい状況」と解説する。 |