なるほど、昨日とあまり違わない事をすれば、ドキドキも少なくてバレにくいだろう。 その分、ときめきも少ない気もするが、兄ちゃんに悟られないためには、仕方ないよな。 「ちょびっとずつって事ですね」 ちょびっとずつでも、毎日会えるのは嬉しい。 新鮮さが無くなるだろうか。 でも、ドキドキやときめき厳禁なんだから、慣れが必要なんだ。 何だか味気ないかな。 仕方ないよな。 「そう、名付けて『亀の牛歩作戦』だ」 なんてこった。 のろい亀が、更にゆっくり進むなんて。 カッコ悪いネーミングだが、とてもわかりやすい。 「ところで、毎日ってどこで会うんですか?」 手を繋ぐくらいならいいにしても、包容やキスともなれば、人目を忍ぶだろ。 学校でって訳にもいかないよ? 「学校しか無いな。一旦帰ったら、ミキにバレずに出て来れないだろ」 マジか! 学校には兄ちゃんも居るんだぞ。 見つかったら大変だ。 「学校で大丈夫ですか?」 とんでもない綱渡りになるんじゃ。 「休み時間に生徒会室へおいで。あそこなら、ミキに見られる心配は無い」 ああ、それはいいかも。 「わかりました。いつの休み時間かは、メールしてください」 俺達の進み方が決まった。 後は上手くやるだけだ。 亀の牛歩作戦を。 . |