愛しい 愛しい 宿敵さん 第十伍話 ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 山小屋に近づくにつれ俺の意識が少しずつ薄れていく… 俺は薄れゆく意識の中、ジンのロングコートの袖を掴み 「ジ…ン……」 と名前を呼ぶ… 「何だ?ジ・ラ」 「ウチは…アカンわぁ……」 弱音を吐く俺にジンは 「ジ・ラ何言ってやがる!?」 山小屋に到着したのは深夜一時… ジンはウォッカに 「お前は待ってろ。山小屋には俺とジ・ラの二人きりに…もしもの時は連絡をいれる。間違っても何人(なんぴと)たりとも山小屋に近づけるんじゃねぇぞ…いいな?」 「了解しやした!」 俺を抱き抱えジンは山小屋に… ジンは俺をベッドに寝かせ床にあぐらをかいて座り俺の手を握りしめ 「俺達ぁ〜長い付き合いだったな…お前はウォッカより役に立った…俺はお前にはいてもらわねぇと困る…しかし何故あの方はウ ォッカじゃなくてお前を殺せと命令しやがったんだろうな…なぁジ・ラ…」 ジンの言葉をグッタリとした表情で聞いている俺… 「ウチは…あの…方やないさか…いわから…へんけど、あの方か…らしたら…ウチの…事が…目障…りに…なったん…かもしれ……へんな……ゴホゴホッ!」 咳き込む俺にジンは俺を抱き寄せ 「大丈夫か?ジ・ラ」 「キツイ…」 そう言い息がしづらそうな俺に 「わかった」 と言った。 ジンは俺の頭を優しく撫でている。 死期が迫っている事を悟った俺はジンに 「ウチ…は…ジ…ンらと…過ごせ…て…ホン…マ良かっ…たわ…ジ…ン…大…好き…やで………」 俺は最後の力を振り絞り絶え絶えに言いニッと微笑んだ後瞳を閉じた。 ジンは俺が息を引き取った事を悟りギュッと俺の亡骸を抱きしめ涙をこぼし 「ジ・ラ!?」 と名前を叫んだ… これがジンが初めて見せた涙だったのかもしれない… その頃、ジンの指示を 守り誰も山小屋に近づけなかったウォッカに 「ジンとジ・ラが山小屋から出てこないじゃないかい!?どうなってんだい?!ウォッカ」 イライラしてウォッカに当たっているキャンティにウォッカは 「仕方ないじゃねぇかよぉ…ジンの兄貴に『何人たりとも山小屋には近づけるな』って言われてるんだからよぉ…あ、兄貴が山小屋から出てきたぜ」 山小屋から出てきたジンにキャンティが文句を言おうとしたがジンの様子がおかしい事に気付いたベルモットがキャンティを落ち着かせ 「ジンの頬に涙の跡があるのを見るかぎりジ・ラが息を引き取ったみたい…」 ベルモットの話にウォッカ、キャンティ、バーボンは驚きを隠せない様子だったがコルンはいつも通りに 「ジ・ラが死んだのか?」と言っている 鈍感なコルンにキャンティは 「ああそうだよ!全くコルンあんたは鈍感だねぇ!?」と怒鳴った。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ⊥⊥⊥⊥⊥⊥⊥⊥⊥ N E X T |