身近に小さな文明論{No}号  2004/12/26

身近に小さな文明論・・2004.12.26

熱帯のクリスマス

高度経済成長とともに年々華やかさを極めたクリスマスも、最近はそのスタ
イルをすっかり定着させたように落ち着いて見えます。最大のものがクリス
マスケーキ、もはや年中食べたいときにケーキを食べることの出来る余裕が
クリスマスケーキの売れ行きを落ち着かせました。そうしてみますと、豊か
さとともに日常空間が祝祭的空間によって混交された、いわゆる毎日がお祭
りを包含した現代が象徴しているようでもあります。

先月の末にはメキシコシティーにおりました。そこは2000メートルの高
地にあるとはいえ緯度からすると熱帯、朝夕は涼しいとは言っても昼日中の
太陽はぎらぎらと照らして半袖Tシャツで十分です。しかし敬虔なカトリッ
クの国の年末はやはりクリスマス一色になるのでしょう。大きなビル全体を
飾っただけに飽き足らず、ショッピングセンターは電飾で賑わい、ストリー
トミュージックならぬストリート・マリアッチの賑やかな演奏で溢れ、休日
前夜ともなりますと肌も露わな人々でいっぱいになります。

ところで、海外の街でクリスマスをはじめて目にしましたのはアメリカのダ
ラスだったと思います。198年ごろのこと、仕事が長引いて予定通りの帰
国もままならず、12月も20日を過ぎるとアメリカ人は皆クリスマス休暇
に入ったというのに日本人だけは相変わらず働き詰で、ある仕事を終えた夜、
食事に出かけた街で目にしたクリスマス飾りは日本とは雲泥の差、実に見事
でした。寒さを忘れていつまでも見とれていたのを覚えております。

一方で南半球でもクリスマスはやはり12月なのかと、その頃訪れたオース
トラリアで夏と雪とが上手く重ならない、不思議な思いを弄びました。しか
しキリスト教国は夏だろうとクリスマスの時期に違いないようです。南アフ
リカのヨハネスブルグでも真夏の気候の中でショッピングセンター前には例
の毛皮で縁取られた赤い服装のサンタクロースがトナカイを連れて、連日訪
れる子供たちとカメラに収まっているようです。年中30度のマニラでも
12月になるとやはりクリスマスで、職場などでもクリスマスを祝うための
募金箱が回されるそうです。そしてその翌日にはクリスマスの日にに働いて
くれた人たちにプレゼント・・メイドさんだけでなく警官も運転手も・・だ
そうです。

そうしてみますと、クリスマスは季節に関係ないようですね。しかも日本の
ように宗教も関係ないと来ると、クリスマスとはうまいものを食べたり酒を
たらふく飲む口実にしたり、夜遅くまで羽目を外してみたり、そして商魂逞
しい人たちがビジネスチャンスを掴んだりと、人それぞれが自分に都合よい
ように迎えればいいのかもしれません。

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