±MAIL MAGAZINE 遊園地【壱話目】  2004/07/25

きっかけはバンド結成。お前と出会って、そして愛した。結成当初は、ただ同じバンドのメンバーなだけで、別に何も思いやしなかった。いつからだろう、お前を好きだと自覚したのは。そんなことすら忘れてしまうほど…お前に夢中になってしまった。

「瑠樺サン、今度のオフ一緒にどっか行かない?」
俺の名前を呼ぶお前は、真っ直ぐな瞳をしていて。
「デートの誘い?」
俺は心に秘めた密かな恋心を隠すように、お前の言葉を茶化して返す。それでもそこは新弥だな、へこたれもせずに笑って言う。
「バレました?」
ニコニコと、本人は冗談のつもりだったんだろうがその一言。……直撃。下半身にキた。思わず背中を向けて襲いたい衝動を抑えると、俺は背越しに返事をした。
「朝お前が起こしにこいよ、したらデートしてやっから」
強気なセリフは建前で。ホントは結構新弥とデートが嬉しかったり。照れ隠しのセリフに新弥は、「了解v」と残して立ち去っていく。

デート当日。
「るーかーサ〜ン!」
耳元で怒鳴る声がちょっと幸せ。翌朝に俺の家に起こしに来るのは面倒だからと、俺の家に泊まった新弥。俺の理性がやばいので寝床は別々だったけど。朝になってお前が起こしに俺の部屋に来た。
「ん…まだ眠い…」
多少なりとも我侭を言って新弥を困らせたくなってみて。眠たい振りしてベッドに寝転んだまま。だけどそれは、
「…デートするって言ったくせに…」
と、耳元でしょぼくれた声を出されれば続けられない。すぐさま起き上がって支度を済ませた。既に俺を起こす前に支度が整っていた新弥はリビングのソファに座って待ってた。
「で、どこに行くか決まってんのかよ?」
問い掛ける。
「遊園地。最後に行ったの中学1年でね、久しぶりに騒ぎたいな〜って」
行き先は決めていたようで、俺は車に乗り込むと、新弥を載せて近場の遊園地へと走った。

まさか遊園地で、予想だにしない出来事が起こるなんて考えもせずに。

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