『Blue fairy』/4  2005/01/06

(……)
その、少しざらつく殻を見ていると、余計にこの卵が非現実的なものに見えてくる。
滑らかな曲線に囲まれた形はいかにも優雅で、まるで精巧に作られたオブジェのようだ。
最初は本当にそう考えた。作り物で、生きてはいないのだと。
けれど彼にはどうしても、この卵が生き物であると思えて仕方ないのだ。鳥の卵にしたって、とうに命の保証は無いようなこの卵が。
おかしいな、と小さく自分を笑って、卵を人差し指で小突いてみた。
卵はころんと倒れて、机の端を転がる―――
「あっ…!!」
思わず手を差し伸べた時にはもう遅かった。

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