『Blue fairy』/39  2005/01/23

未だ夢を見ているような顔で皿を見つめるジョーに、彼は肯いた。
「…いただきます…っ」
細やかな細工の施されたフォークで、恐る恐るケーキをひとかけ口に運ぶ。
古風なチョコレートのケーキは、舌に乗せるとほろりと崩れた。
「美味しい…」
思わず、驚きと感嘆を込めた声で呟いた。
「こんなに美味しいお菓子食べたの、僕…初めてだ」
「……それはどうも」
妖精はまたほんの少しだけ笑って、軽く会釈してみせた。
「ありがとう。…えっと…」
「?」
「君、名前は?」
そういえばまだ聞いていなかった。

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