『Blue fairy』/59  2005/02/15

「!」
思わず、背中が跳ねる。
恐る恐る振り向けば、ドアにもたれて億劫そうな長身が見えた。
「…あれ」
(うわ…っ)
長い前髪に半ば隠れた琥珀色の双眸が、驚いたように向けられた。
彼だ。
「珍しいなぁ。お前が居残りなんて」
「あ…う…うん。…今日は、遅刻…」
「俺も。…おっかしーなー…今朝は絶対間に合うと思ったんだけどなー」
高鳴っていた心臓がどきりと一際大きく脈打った。
時間が狂ったのは、自分の願いの所為だ。些細とはいえ、卑怯な事をしてしまったかもしれない。

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