『Blue fairy』/71  2005/02/27

確か昨日の約束は昼からだったか―――
あの後はろくに寝付けなかったと見え、少年はまだ自分のベッドで安らかな寝息を立てていた。
(…起こす事も無いか)
アルベルトは布団から出ると、小さく伸びをした。
そうしてふと蒼い両眼を閉じる。
瞬く間にその背中へ広がったのは、透明な翅であった。
世話の焼ける主人に出会ってからというもの、一人で外出も出来なかった。欲を言えば地面を歩きたい所だが、朝とは言え人に見つかるのは避けるべきだろう。
彼は都合よく開いていた窓の隙間に上ると、なるべく高く舞い上がった。

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