『Blue fairy』/72  2005/02/28

朝の空気が頬に心地好い。
太陽の光は彼のような種族にとって、日々の糧にも等しいものだ。
庭木の間を、なるべく人目につかぬよう移動しながら、小さな生き物は輝く翅をはためかせた。
だがふと、大通りへ続く道の入り口で、彼は動きを止めた。
(…あれは…)
其処に位置する小さな商店の前で、あの赤毛の青年の姿を見つけたのだ。
今さっき出てきた所だろうか、手には中身の入ったビニール袋を提(さ)げている。
未だ眠たそうに欠伸を噛み殺す仕草は、初めて見た時と違って少し幼い。年相応だ。

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