花散る丘/2  2005/03/21

「あ、勿論車は僕が運転するから」
光に照らされたジョーの髪が、栗色にほんのりと光る。
ソファに座って本に目を通していたアルベルトに、後ろから覗き込むように話しかけては、にこにこと楽しそうだ。
それを、細かい文字を追う時にだけ用いる華奢な眼鏡の向こうから、青い瞳が些か不意を突かれたように見遣っていた。
「それは構わないが…場所の当てがあるのか」
「うん。結構近くにいい所があったんだよ、知ってた?」
弾んだ声を聞いて、やっと相手は振り向いた。
だがそれでも、未だ何処か億劫そうだ。

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