花散る丘/3  2005/03/22

―――彼が、実はとても睡魔の誘惑に弱いことを、少年は知っている。
尤も、これは彼を知る人間ならば誰でも解っていることだったけれど。
そしてこの、麗らかな日差しに包まれたリビングは、まさに午睡にはうってつけだった。
「……行かない?」
今ひとつ気乗りしないその様子に、ジョーは少し残念そうに首を傾げた。
「どうしても今日でなくていいだろう」
まるで子供が父親に日曜日の外出をねだるような、そんな会話だ。
だが子供というものは、得てして大人の言葉には従わない。

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