花散る丘/4  2005/03/24

「だって明日は雨だって、天気予報で言ってた。今日じゃないと、きっともう満開の桜は見れないよ」
唇を尖らせて抗議する。
アルベルトは溜息を吐いた。
どうも、この手の誘いを断るのは苦手だ。他の誰かと行けばいいと促すにしても、今この家にいるのは彼とジョーと、それにあと一人―――
「ま、何の相談?」
と、そのもう一人が、新しく淹れた紅茶のポットを片手に割り込んで来た。
途端、アルベルトの眉間に露骨な溝が刻まれる。
それは彼と同じ銀の髪を、同じように首筋に纏わせていた。

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