花散る丘/5  2005/03/25

顔立ちも背格好も、鉛色の右手さえ鏡に映したように似て、ただ褐色の肌と赤い瞳だけが違う。
何も知らない誰かが見たら、血の繋がった兄弟だとでも思うに違いない。
「ベリアル。あのね…お花見しに行こうっていう話」
「オハナミ?」
ジョーが名を呼ぶ。
それさえも、アルベルトは少し気に入らなさそうに眺めていた。
ベリアルはロボットだ。
彼を模して作られ、彼を殺すが為に作られた筈のアンドロイド―――その失敗作のうちの一体である。
だが、廃棄される筈だった失敗作が、どういう訳か意思を持った。

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