花散る丘/6  2005/03/26

そしていつの間にかここにいる。唯一幸いなのは、本来の目的からすっかり興味を失くしていることだ。
否、それでも、アルベルトにとって気を許せる相手にはなり得なかったが。
「…って、何?」
首を傾げる仕草はまるで生きた人間そのもののようで、機械の塊であることを感じさせる部分は一見して微塵もない。
「あ、そうか…君は知らないんだね。日本の習慣なんだ。桜の花を見ながら食事したりお酒を飲んだりすること」
「サクラ…Kirscheのことね?」
「うん。近くにいい所があるから、今から行こうって」

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