花散る丘/10  2005/03/31

ジョーは車から跳び下りると、丘の上へ駆けていった。
振り返って二人へ手を振る仕草など、まるで幼い子供のようだ。
それに応えて手を振り返してから、ベリアルは喉の奥でくすくす笑った。
「散歩に連れて来て貰った子犬みたい」
「……」
心の中で同意はしたが、アルベルトは口に出さないでおいた。
見上げれば、風に煽られて花弁が踊っている。
「ほんと、綺麗ね」
風は二人の銀色の髪も、花弁と同じに撫でてゆく。
「……お前にそんな感覚があるとはな」
「あら、知らなかった?」

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。