花散る丘/11  2005/04/01

「いや…ただ、初めてそれが解った時は驚いたのを思い出した」
美しいものを美しいと思い、愛しいと思うのは、人間だけが持つ感情の成せる業だ。
そして多くの場合、機械に感情は宿らない。
「そうね。…でもいいじゃない、たまには、そんな嘘みたいなことがあっても」
「……『たまには』所か、是非これきりであって欲しいもんだ」
アルベルトは溜息を吐いた。
こんな出来の悪い紛い物は、一人で充分だ。
「さぁ、どうかしら」
「いい加減にしろ。…俺の神経の方が危うい」

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