花散る丘/12  2005/04/02

冗談よ、と言ってもう一度視線だけで笑うと、ベリアルは車から離れて丘の上へ登った。
花の色は丘の緑に良く映える。
「アルー!!」
ジョーの呼ぶ声が聞こえた。
見上げれば嬉しそうな笑顔が見える。
彼とて花を愛でる心が無いわけではないが、それにしてもあのはしゃぎようは多少理解しがたい。
うっかり忘れたのか、それとも初めから押し付けるつもりでいたのか、車の中には二人の積み込んだ荷物がまだ残っている。
仕方なくそれを後部座席から下ろすと、アルベルトも後を追った。

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