花散る丘/13  2005/04/03

「…コレ何?」
幹の根元にシートを敷いて、腰を下ろす。
ベリアルが指差したのはジョーの持って来た包みの中身だった。
「それ?それは桜餅。お菓子だよ」
ここへ来る途中、道沿いにあった小さな和菓子屋で買ったものだ。
薄紅色の小振りなそれが、彼はいたく気に入ったらしかった。
「可愛いお菓子ね。…名前もぴったり。ピンク色で綺麗」
ふと、彼は桜餅とジョーを見比べて微笑んだ。
華奢な顎へ手を伸ばすと、少年の少し開いた、ふっくらと柔らかな唇を親指でなぞる。
「な…何?」
じっと見つめられて、どきりとした。

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