花散る丘/14  2005/04/04

「…良く似てるわ。可愛いピンク」
「え…」
「―――美味しそう」
言いながら彼が唇を寄せたのは、桜色の和菓子の方ではない。
「…えっ…ちょっ…!」
ジョーの頬が狼狽で真っ赤になり、思わず目を逸らす。
だが、あともう僅かで触れ合うというその時、背後から伸びてきた手がベリアルの襟首を捕らえた。
「あ」
振り返れば、蒼い双眸が氷のように冷たい視線で見つめている。
「……」
無言の威圧は、しかし相手にはあまり効果が無いようだ。
「…嫌ぁね、言いたい事があるなら言ったら?」

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。