花散る丘/18  2005/04/08

誰にでも心を許すのは良い事だが、それは時に独占欲に火を点けると、少年は知らない。
目を光らせている方の身にもなれ―――とは、とても言えないアルベルトだった。
「気を取り直して、お花見再開しましょ。…こんなに綺麗に咲いてるのに、考えてみたら失礼よね」
やっと笑いが治まったらしいベリアルが、桜の枝を見上げてふと呟いた。
花霞、と言うのだろうか。薄紅色の花はまるで雲のように空を隠し、散った花弁が向こう側の景色を霞ませるほどだ。
美しく、荘厳な眺めだった。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。