花散る丘/20  2005/04/10

「幽霊っていうか…伝説みたいな感じかな。昔からある」
「それこそ失礼だわ、桜だってきっと、不本意よ。…これが全部、埋まってる人のお陰だなんて」
見事な薄紅の花弁を一枚拾い上げながら、笑って首を傾げてみせる。
ジョーは言葉に詰まって、上を見上げた。
―――桜の下には死体が埋まっているなんて、信じた事は無かったけれど。
「そう…かな」
「第一そんな暗ぁい話、こんな綺麗なお花には似合わないでしょう?」
幹に背中をもたせ掛けながら、ベリアルは心地良さそうに目を閉じた。

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