花散る丘/23  2005/04/13

濃紺の空を枝越しに見上げれば、細い三日月が、死神の鎌にも似て浮かんでいた。
「……いつまで隠れてるつもり?」
ふと、独り言のように、笑みを交えて呟いた。
背後に佇む影がびくりと一度だけ震えて、それから素直にその姿を現す。
「…知ってたの…?」
彼は振り向いて、少年の顔を見つめた。
悪戯が見付かった子供のような、今にも泣き出しそうな顔をしている。
「こんな寂れた道を、こんな時間に車で通る人なんて他にいないでしょ。…アナタと、アタシ以外に」
紅い瞳のアンドロイドは、溜息をついて肩を竦めた。

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