花散る丘/27  2005/04/19

機械の手。
血の通わぬ金属の塊であるはずのそれが、しかしジョーには心地好かった。
「……アタシねぇ」
少年の髪に散った花弁を摘みながら、彼は呟いた。
「あの話聞いた時、ホントはちょっと羨ましいなって思ったの」
「…羨ましい…?」
「そうよ。…だって、この木の下にもしも誰かが埋まってるとしたら」
冷たい右手はそのまま少年の頬を撫でて、それから夜の闇に染まった太い幹にひたりと当てられる。
「その誰かさんはとても幸せじゃない?―――こんなに綺麗な花に生まれ変われたんだもの」
「……」

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