花散る丘/30  2005/04/22

「―――…わからないって、おかしいわね」
「え…?」
「わからないの。…アタシが今、幸せかどうか…自分でも…」
振り向いた顔はまだ何処か苦しげだった。
「勿論、皆と一緒にいるのは楽しい。ずうっとこのままでいれたらいいのにって、思うわ。…だけど、でも」
彼は自分の両手を見下ろした。
初めて見た時は機械油と皮下循環材に汚れていた。誰もいない地下の実験室で、突然に目覚めた、自我。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。