花散る丘/31  2005/04/23

暗くて冷たくて居心地が悪くて、胸の奥が奇妙に重い―――それが『孤独』という名の感覚だと理解したのは、ずっと後になってからだった。
「アタシはアナタ達みたいに、幸せの基準が何なのか知らないの。…だから…もしかしたら、アタシは…」
この手は何の為に在るのだろう。
オリジナルのそれのように、命をかけて護るものも、優しく抱き締めるものも持たない両手。
「あのまま、出来損ないの人殺しの道具で終わった方が、幸せだったかもしれない」
不意に、風が凪いだ。

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