花散る丘/34  2005/04/27

「アタシにだって、ちゃんと解ることはあるのよ。…アナタの事は大好きだから、だからそんな顔はやめて頂戴ね」
花は散って、生まれた場所へと還るだろう。
そうしてまた、死など忘れて咲き乱れる。
「……帰りましょうか」
いつもと同じ顔で彼は笑って、少年の涙を拭った。
―――輪廻の巡りには永遠に加われなくとも。
ただ今は此処に居る。
桜は尚一層仄かに、白く燃えていた。

***

汝、何ゆえに咲くか
薄くれないの花びらよ

燃ゆるひとときこそ
鮮やかな命であれ

例えその先が
とこしえの闇でも



End.

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