Ghost Thierf/3  2005/05/05

「くぁ…」
彼―――ジェットは、ここの警備を任されている一人だった。
だが何分にも臨時雇いの、言わばアルバイトだ。軽い気持ちで始めたが故、そう大した責任感もない。
そもそも、そんな人手でさえ是非にと駆り出されたのには理由がある。
それがあの―――
「怪盗スカーレット…ねぇ」
呟いてみても、どうも実感が湧かない。
尤も、この名前も単なる渾名で、人々が噂のタネに命名しただけだ。相手は自分から名乗るような派手好きでもなければ、馬鹿でもなかった。
姿さえも、数える程の人間しか見た事がない。

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