Ghost Thierf/10  2005/05/08

それは男の顔をしていた。
銀の髪、水を満たしたように妖しく輝く青い両眼、青白く冷めた頬と、風になびく真っ白な服を纏った身体。
―――そのどれもが、向こう側にいるもう一人の人物が見える程に透き通っていたけれど。
「……っ!!」
ジェットはあまりの事に声も出せず、ただ息を飲んだ。
白い男は青い目を細めると、夜の底から響くような声で呟く。
あの、掴み所の無い、声。
『最後まで追いかけて来たのはお前が初めてだ。……俺の姿を見たのも、だが』
宙を滑るように近付いてくる。
足音さえ立てずに。

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