Ghost Thierf/12  2005/05/09

「仕事はもう終わったんだ。人の命を奪うなんて、僕らの流儀には合わない。……それに、彼ひとり逃がしても」
月を背負った影が、風に揺らめいた。

「怪盗スカーレットは、誰にも捕まらない」

ばさりと、布をさばく音がした。
刹那。
小柄な風は、白い男の姿もろとも、闇に呑まれるように消えた。
まるで幻のように。
「っ…!!…くそっ、待ちやがれ!!」
はっと我に返ったジェットが窓辺に駆け寄る。
だがそこにはもう、人影どころか猫の子一匹いなかった。

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