Ghost Thierf/13  2005/05/10

後にはただ、ロンドンの夜景ばかりが、いつもと変わらず広がっているばかり―――
「……スカーレット……」
夜空を舞う、赤い瞳の魔物。
彼は小さく唇を噛んだ。

***

「……それで、警察に叩き出されたって訳?」
「あー…思い出させんなよ、バカ」
狭いアパートの一室で、コーヒーの湯気がふたつ立ち昇っている。
窓から差し込む午後の光はいかにも優しげ、その上向かい合って椅子に腰掛けているのが若い男女とくれば、それは美しい光景に見えただろう。
だが、男の方の顔はとても会話を楽しんでいるような表情ではない。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。