Ghost Thierf/26  2005/05/23

「……!」
彼は思わず少年を見つめなおした。
「君が初めてなんだ。……僕以外に、彼が見えたのは」
呟いた少年の顔は先刻と違い、真摯そのものだった。
「……お前」
「お願い、捕まえる前に少し、僕の話を聞いて。…それからでも、遅くないだろ?」
もう一度ほんの少しだけふわりと笑って、少年は彼の手を取った。

***

そこは、細い裏通りの一角だった。
どこにでもあるような小さなビルの階段を、ジェットは少年の後について上っていった。
頼り無い金属の階段は、足を乗せる度に軋んだ音を立てる。

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