Ghost Thierf/29  2005/05/26

そのお尋ね者が、何を堂々と探偵などという看板を掲げた挙句、追っ手を家に上げているのか。
もしや罠に嵌ったのかとも考えたが、鼻歌など歌いながら来客用のカップに紅茶を注ぐ少年は、到底そんな話とは無縁に見える。
彼はもう糾弾する気にもなれず、呆れて肩を落とした。
「そう言えば…君の名前、まだ聞いてなかった」
「……俺はジェットだ。ジェット・リンク」
ぶっきらぼうに返すと、少年は嬉しそうに笑った。
そして、胸元のロザリオにそっと囁きかけた。
「―――…だってさ、ハインリヒ」

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