Ghost Thierf/30  2005/05/27

すると、そこから微かに光る煙のようなものが立ち昇る。
朝霧を思わせる冷たい白い粒子は、見る間に人の形を成した。
最後に開かれた瞳は、あのどこまでも透明で深い蒼―――
「…!!」
ジェットは思わず後ずさって、喉の奥で声にならない悲鳴を上げた。
『……二度目でも怖いか』
男は薄い唇に冷笑を浮かべ、音もなくこちらへ一歩近付いてくる。
『相変わらず、威勢がいい割には随分と臆病な番犬だな』
「なッ…!!」
ジェットはやっと我に返ると、男の襟首のひとつも掴んでやろうと腕を伸ばした。

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