Ghost Thierf/33  2005/05/31

少年の背後には、相変わらず真っ白な影が窓枠に背をもたせかけていた。
これは先刻少年から聞いた話だが、幽霊は生きている人間と触れ合うことは出来なくとも、物を触ったり掴んだりは出来るらしい。
あの時美術館で見た宙を滑る宝石は、その仕業だったのだ。
幽霊は透き通った長い脚を億劫そうに折り曲げて、真昼の風景が広がる外を眺めていた。
「理由…?」
無差別な泥棒に何の理由があるというのか。
彼が怪訝な顔で首を傾げると、少年は大きな瞳を伏せて、落ち着いた声で言った。

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